粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

143.しゃかつく研 11月定例会 その③ 最終回

11月定例会の報告の続きを・・・。

2人目の実践提案は、柳圭一先生です。

今年、柳先生は千葉県長期研修生として1年間

筑波大学の唐木先生のところで勉強をしています。

 

さて、柳先生は

「これからの食料生産」を身近に感じさせる単元構成

~販売店の取り組みを軸に~

という5年生の単元でした。

 

単元の構成は

①問題の把握 「浦安市水産業の現状を知る」

②事実の追究 「森田さんの仕事の現状を知る」

③選択・判断 「自分が関われることを選択・判断する」

④参加する  「自分が考えたことを提案する」

という構成です。

唐木先生の提案している

社会参画の授業モデルに沿っていますね。

 

まず、興味をそそられるのは③④のところです。

小学生の子供たちに、どのような判断をさせ、どのように参加させるのか。

 

③については、「これからの食料生産、自分が関われるのはどんなことだろう」

という問題で、

・フードロスをなくす。

・いろいろな食料に興味を持つ。

・買い物をするときは値段だけじゃなく中身にも気を配る。

・自分自身が生産者になってよいものを作る。

ということが指導案に書かれています。

 

④については「これからの食料生産について考えたことを提案しよう」

という問題で、

・日本の伝統的な食品を食べる機会が少ないことに気づきました。だからもっといろいろな食材に興味を持っていきたい。

・生産者のこだわりを知ったので、それをもっと知ってもらいたい。

・森田さんのように好きなことと仕事を結び付けていることを知りました。

と書かれています。

 

子供たちが学んだことをもとに、生産者や消費者、販売者の立場に立って、自分なりに考えていることを期待しています。

以前主権者教育の時に書きましたが、

しゃかに関わろうとする子供を育てるには、単元を積み重ねていくことが大切だと書きましたが、今回の柳先生の授業も性急な参加を求めていないのかなと思いました。

 

さて、柳先生の実践で、とても面白かったのは教材として登場した、

浦安の魚屋さんの森田さんです。

歌を歌う魚屋さんということで、地域の人気者のようです。

ご両親から魚屋さんを継がなくてもよいと言われたそうですが、それを継いで、

マグロ解体ショーとライブ、人気が出ていろいろなところに呼ばれてもいるようです。

また、水産庁から魚食文化を広める功労者におくられる「お魚かたりべ」にも任命されたそうです。

大変興味深い教材でした。また、歌は面白くて笑ってしまいました。

 

森田さんは3年生の販売のお勉強でも有効な教材に案るなあと思いました。

 

定例会は、とても内容の濃い良い勉強会になりました。

その後はしゃかつく研おなじみの懇親会。

みんなで楽しい時間を過ごしました。

社会科好きのみんなで過ごす時間は実に楽しいものです。

 

次は1月14日(日)の第12回 冬大会です。

村田先生をお呼びしての研究会です。

私は新作授業をします。

また、しゃかつくコンテストでは、2連覇めざじてがんばります。

下のリンクをご覧いただければと思います。

現在申込み中です。

小学校社会科授業づくり研究会 1 来年度

142.しゃかつく研 11月定例会 その②

11月定例会の続きを。

中谷先生の2つ目の提案。

4年生「ごみの処理と利用」~私たちの出したごみの先にある物語~

 

ごみの授業は昨年度私は夏場にコンを詰めてやりました。

クラス全員でバスを借りて最終処分場にいったなあ。

東京湾の真ん中。東京ゲートブリッジのすぐ横が、

東京都に残された最後の埋立処分場でした。

中央防波堤外側の埋め立て処分場は、ごみがつみあがっていて小高い山になっています。

そのごみの山からは、ゲートブリッジやレインボーブリッジ、高層ビル群など東京の絶景が見えるのです。場所が場所ですが、絶景の展望台です。

人々が暮らす、最先端の町のすぐわきに、このような場所があることは、なんだか私たちに繁栄の裏表を見せつけられるようで、象徴的でした。

そして、教科書や資料集で学ぶことは違って、実際にはスラブではなくて、ごみがそのままむき出しになっている様子も見ることができました。

また、雨水が堆積したごみに浸透して出てくる、真っ黒い浸出水はそのまま東京湾に流せないので、その処理に多額に費用がかかること、そして、それはこの先100年近くも出続けることを学びました。

ここでも、大きな問題は先送りなのかと、将来を案じもしました。

 

さて、話が脱線しました。

中谷先生の実践は、千葉県船橋市のごみの処理についてです。

要点を言うと、船橋の場合には、スラブ化されたゴミは秋田県小坂町に運ばれているそうです。

それを聞いて真っ先に思うことは、小坂町の人はどう思っているのかな。処理費用が得られるのだから納得しているのかな。それとも、反対なのかな。など、いろいろな想像ができます。それに、船橋の人も、どれくらいの方が、小坂町に埋め立てられていることを知っているのかな。

小坂町に行ったことがないので、全ては予想なのですが、

過疎の町に、船橋のような都市部のごみを費用を払って処理する。

なんとなく、複雑な気持ちになります。

 

しかし、中谷先生の実践は、ここからが素晴らしいのです。

小坂町は、もともと鉱山の町で栄えたのですが、それが衰えてしまった。

鉱山時代には、黒い石の塊から、金属を取り出す技術が素晴らしかったそうです。

 

そして、現在はその技術を生かして、ごみから金属を取り出しているそう。

そして、家電ごみからは、金を取り出して、2020年の東京オリンピックのメダルを作るそうです。

 

驚かされます。

私は、小学生の教材には、最後は「希望」が必要だと思っています。

社会問題の解決は難しいけど、人々は取り組みの先に「希望」を見出しているということが大切なのだと思います。

それを、子供たちにも感じてほしいです。

だから、小坂町。行ったことはないからわからないところもありますが、

希望が見えているようで、いい教材だなあと思いました。

 

子供たちも、小坂町のアナザーストーリーを学んだら驚くことでしょうね。

 

☆次回は、柳先生のお魚の実践。インパクト大。笑わしてもらいました。

141.しゃかつく研 11月定例会

昨日11月11日(土)はしゃかつく研(小学校社会科授業づくり研究会)の定例会がありました。

今回の実践提案は、千葉県長期研修生の

柳圭一先生と中谷佳子先生でした。

柳先生は筑波大学の唐木先生に、中谷先生は千葉大学の竹内先生の元で1年間研修をしています。

私はどちらの大学の先生とも親しくさせていただいていますので、

どのような実践提案になるのかとても楽しみにしていました。

最初は中谷先生の提案でした。

 

中谷先生はなんと、2つの単元を作り上げたそうです。

4年生の「くらしと水」~蛇口の向こうに広がる未知の世界~

同じく4年生の「ごみの処理と利用」~私の出したごみの先にある物語~でした。

 

どちらの単元も「循環」をテーマに授業を作り上げたそうです。

水は自然に循環しているものですね。山に雨が降り、川を下って海にそそぐ。そして海の水が蒸発してまた大地(山)に雨を降らせる。その循環の途中で私たちは生活や農業に使うために水を取り出しています。

人工的に、多くの人々に安定的に水を供給するために、

作り上げた施設が上水道施設ですね。

ダム、浄水場、水道管などがそれにあたりますが、水道水源林の管理もその中に入ります。

また、水を汚せば、海や川が汚れてしまうので、下水処理場などの施設を作ったりもします。

水道の学習では、私たちが安定的に水が使えるように、たくさんの水道施設があり、工夫が詰まっていることや、多くの人々が関わっていることを学びます。

 

さて、中谷先生の授業では、

船橋市に供給される水が利根川から来ることを学び、利根川をさかのぼっていきます。

このときの手立てが、Googlemapを使って、居ながらにして利根川をさかのぼっていく動画。

見せていただきましたが、太い利根川がだんだん細くなって、谷川連峰まで行きつく様子は圧巻でした。

さて、その谷川岳から湧き出る水の1滴の様子まで取材してきていました。

 

教材研究への熱意を感じました。

また、遡るだけでなく、用務員さん、浄水場の富田さん、八木沢ダムの署長さん、現場の尾形さん、みなかみ町緑のダムの千葉さん・小池さん、大水上山の電気バスの運転手さん、山岳隊の馬場さん、下水処理場の江口さん。

私たちの元に水道が届くまでには、たくさんの方の仕事があることを学んだことは想像に難くありません。

授業を終えて、子供の一人が蛇口を開いたとき

「おれ、蛇口の先にたくさんの人の顔が見えた気がする」(正確でないかも)

と述べたそうです。

そういう声が自然と出てきそうな、とてもあたたかい実践だったと思いました。

 

☆中谷先生のごみの実践と柳先生の実践は次回に・・・。

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140.自動車の授業の続き

前回の続きで。

というように、自動車業界は岐路に立っている今日、

子供たちにどのように自動車工業を学ばせていくのか、

以前ほど簡単ではないともいます。

将来に変革に耐えうる学習内容を提供するとともに、

授業の構成を工夫をしていくことが望ましいと考えます。

 

そこで、私は

これまでのような

「自動車工業は日本の主要な産業である」

「自動車生産には様々な工夫がある」

ということに加え

「自動車は人々の生活を豊かにしてきた」

ことを学ぶとともに、

「これからも、生活を豊かにしていくであろう」

という視点を加えることにしました。

 

そこで、従来は最初に大きな自動車工場の航空写真や産業の中で自動車産業が占める割合の高さから、自動車生産の学習に入っていくことを変えて、

 

くらしを支える様々な自動車を見せて、どれがいいのか判断させていくことにしました。

様々な自動車とは

①ハイブリッド②電気自動車③ガソリン車④福祉車両⑤自動運転車⑥カーシェアの6種類です。そして、③は子供たちの好みそうなスポーツカーや高級車を入れました。

 

最初は①~⑥の内容は言わずに、外見だけで判断させます。

外見だけですので、④の福祉車両や⑥のカーシェアは普通の自動車にしか見えません。

すると、③のスポーツカーが一番人気で、次は②の実際に販売されている「リー〇」が二番人気、そして3番人気は③の高級車でした。

 

子供たちは、選んだ理由を話してもらうと、いろいろなことを言います。

色やデザイン、中には詳しくて、CMで電気と言っていたなどの理由もありますが、

ほとんどが外見についての判断です。

そこで、次に、一つずつ、補足の写真を張ったり情報を付け加えたりします。

 

例えば、④の福祉車両は、車いすを積み込める機構を見せ、カーシェアはそのステッカーが貼られているなど・・・・・。

 

すると児童の判断は変わっていきます。

特にある児童は

 

私は④にしました。私のおばあさんが足が悪くて、いつも旅行に行くのに苦労するから、福祉車両にして、一緒に行きたいからです。

 

すると、教室の雰囲気が変わります。

クルマって、外見だけではないな・・・。という風に変わってきます。

 

そこで、「どうして、こんなにたくさんの自動車があるのだろう」と投げかけて本時を終わりました。

でも、実は「どの自動車が一番いのだろう」と投げかけるか迷っていました。

 

どちらにしても、自動車の多様性、自動車は消費者のニーズに応じて変化してきたことを学ぶための発問ですが、

どちらの方が効果的だったか?

これからも授業が進んで行くので、考えていこうと思います。

また、報告ができたらと思いますが、とりあえずおしまいにします。

139.前回のつづき 自動車

前回の書き残しを。

 

5年生の単元に自動車工業があります。

長く日本の工業を支えてきた、自動車工業を学ぶ単元です。

ライン、カンバン、ひもスイッチ、ジャストインタイム、大型船に取る輸送、現地生産など、記憶に残る言葉が多いと思います。

長い間内容に変化がないのも特徴です。

 

しかし、最近の新聞を見ていると、その自動車工業が岐路に立っていると・・・。

それは、自動化・電動化・共有化という波が押し寄せているからです。(新聞ねた)

既存のメーカーは、電動化が進めばこれまでのように大量の部品が不要になるため、多くの子会社の経営が危うくなるため、積極的には進めたがらなかったようですが、欧州や中国の電動化の流れに逆らない印象です。

また、自動化はもう少し深刻なのかもしれません。自動車工業の中心をIT企業にとって代わられる可能性があるからです。これまでの自動車会社は、生産を請け負うだけという可能性をはらんででしまいます。

また、共有化もそうでしょう。

 

前の学習指導要領の改訂の時は、自動車工業の単元のキーワードは明確でした。ハイブリッドカーにみられるような、省エネでした。

しかし、あれから10年。生産される自動車の半数以上をハイブリッドが占め、ハイブリッドの先を行く環境負荷の少ない車が求められています。

そして、先ほど挙げた3つのキーワード。どのような授業をしたら子供たちのためになるのか。下手をすると、全く役に立たなくなる学習内容を教えてしまうことになるのかもしれないのです。

電動化・自動化が進んで行けば、今のような生産体制を学ぶことの意味は薄くなってしまいます。どうしたらいいのでしょうか。

 

そこで、工夫を凝らすことにしました。(つづく)

 

 

138.今日の授業

今日は、6年生で江戸時代の授業、5年生で自動車の授業をしました。

 

6年生の授業では、

①将軍②大名③百姓④町人に分かれて、不満を発表していきました。

とても、明るい子供たちで、その役になりきっていました。

わたしは、この授業の最後には、

「江戸時代とは誰のための時代」かを考えてほしいと思っていました。

江戸時代は、徳川幕府による封建制です。

土地や武力を仲立ちとして、主従の関係を構成する制度です。

ただ、家康は、鎌倉時代室町時代のよりも、幕府の力を高めた封建制を作ります。

ひょっとしたら、鎌倉幕府室町幕府の緩やかな主従ゆえの不安定さを学んでいたのかもしれません。

ですから、大名や農民に対して相当強力な規制をかけています。

 

幕府の強大さは、結果として長く戦いのない時代を作ることになるのですが。

 

町人文化の発展や新田開発など、何十年も先を見越した政策や文化の発展は、安定した時代ゆえの産物です。戦いがなければ、死者も出ないので、江戸時代は(いろいろな研究者がいて、むずかしいものの)1600年にはおよそ1200万人だった人口は、1750年には3000万人を超えていたと言います。

ですから、江戸時代は長く平和な時代がつづいたと言えるかもしれません。

しかし、どうでしょう。それはあくまで結果としてだはなかったのでしょうか。

徳川幕府徳川幕府のための政治を行っていたのだと思います。

この部分を子供たちの力で気づいていって欲しいと思いました。

 

封建制を学ぶと、明治時代には議会が生まれ、昭和になれ男女平等の普通選挙が生まれるよいうように、次代が進むとより多くの人のための政治がおこなわれていくことに気づきます。社会をよりよくしていくという人の営み、歴史を学ぶ意味を見出せると思います。

今日は、子供たちがとてもよく頑張って、そのことを気づいていける下地ができたと思います。

 

5年生の授業は、自動車の最初の単元でしたが、すでに夜中。睡魔に勝てず、明日書こうと思います。

 

 

 

137.最近買ったトートバック

今日もくだらないことを。

 

持ち物へのこだわりは誰にでもあると思います。

私の場合は、ノートはずっとROLLBAHN。

経線があって、表紙が固くて屋外の取材でもとても使いやすいからとても気に入っています。

それくらいかな。後は、昔バスケをしていて、私の時代ならば誰でも好きだったmjのスニーカー。

登山はマムート。

そういう風に決まっています。

 

そういえば、服装が毎日一緒(洗わないわけではない)という人は結構います。

有名なところではスティーブ・ジョブズのTシャツジーンズや建築家の手塚貴晴・由比夫妻の青赤とか。筑波大学附属小学校では白石先生かなあ。白石先生のシャツとスラックス姿は冗談ぬきでかっよかったな。

忙しい人というのは、服装を選ぶ時間がもったいないから決めてしまうらしい。それに、○○さんと言えばこういう人というアイコン的な効果も考えているのかもしれません。私もそれくらいになればいいのですが、服装は全く平凡です。(大野先生からはイタリアンマフィアとからかわれているから、普通と思っているのは自分だけか)

 

さて、最近トートバックを新調しました。(と言っても、自転車通勤はリュックだからあまり出番がないのですが…)それは下のようなバックです。

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かっこいいでしょ。でも、私はカッコがいいから買ったという理由もあるのですが、このバックの背景に魅力を感じて購入したのです。

 

このバッグは、マザーハウスという会社のバッグでアジア最貧国のバングラディッシュで作られています。マザーハウスは、山口絵理子さんという(1981年生まれ)女性が23歳で起業した会社です。

「途上国から、世界に通用するブランドを作る」

「援助ではなく、誇りが持てる仕事を作る」

という理念でバングラディッシュでバッグを作っている。

 

私はたまたま池袋ジュンクで立ち読みをしていて山口さんの本に出合った。

『裸でも生きる』

『自分思考』を1日1冊で読んで、池袋東武でバッグを買った。

バッグを買うとき「私どものことを知っていらっしゃったんですか?」と店員さんい聞かれたが、あまりに自分のミーハーぶり、かぶれぶりが恥ずかしくて「いやまあ。なんとなく。でも、偶然というわけではないんです」と歯切れの悪いことを言ったら「ご存知だったんですね。ありがとうございます」と笑顔で言われて、笑顔で返しました。

 

さて、著書にはとても魅力的なことがたくさん書かれていたけど、

失敗は、継続をやめた時点で生まれるもの」「失敗がないストレートな成功は成功じゃなくてただのラッキー」

というところが好きかなあ。

 

だから、私もあきらめないようにしようと。

失敗を生かして、強くなっていこうと。

 

私のミーハーっぷり、かぶれっぷりはすごいけど、

影響を受けやすいというのは、そんなに悪いことじゃないと思っています。

 

背景の詰まったマザーハウスのバッグはルイ・ビトンよりかっこいいかも。

いや、畠山さんはルイ・ビトンに牡蠣を詰めて筑波に行きましょうかって言ってたな(わかる人はわかる)

マザー・ハウスも、ルイ・ビトンも背景を調べると価値は倍増しますね。

大切に長く使います。