粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

209.しゃかつく研 定例会中止の お詫び

5月26日(土)に開催予定でした、

小学校社会科授業づくり研究会の定例会は、

代表 由井薗と私の都合がつかなくなり、

心苦しいのですが、

中止にすることにしました。

大変申し訳ございません。

 

7月21日土に開催予定の「夏のしゃかつく研」は

昨年度に引き続き澤井陽介先生をお招きして予定通りに行います。

今年で3回目になります。毎年多くの先生方の参加をいただいていますことに感謝申し上げます。

 

定例会を中止にした分といっては、言い訳のようですが、

取り返すつもりで頑張ります。

 

208.「小学校社会科授業づくり研究会」の予定

「小学校社会科授業づくり研究会」の予定です。

よろしかったらご参加ください。

 

①5月の「しゃかつく研」定例会の日程
 5月26日(土)15:00~17:00
 筑波大学附属小学校 
 内容
 ・教材開発ストーリー(由井薗+粕谷)
 ・会員の先生方の報告・指導案検討

教材開発ストーリーは由井薗・粕谷が行います。6月の公開研究会に向けて教材開発している途中経過を報告いたします。

 

②夏の「しゃかつく研」
 7月21日(土)
 筑波大学附属 小学校
 内容
 ・由井薗+粕谷の授業
 ・授業検討
 ・しゃかつくコンテスト
 ・澤井先生ご講演

 今年で3年目の夏の研究会です。午前から午後にかけて行います。詳細は追って連絡いたします。

 

関心のある先生方は、参加してくださるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

207. 社会参画を志向する子どもを育てる社会科研究会

去る3月2日(金)に、「社会参画を志向する子どもを育てる社会科授業研究会」を行いました。

この研究会は、学習会と置き換えてもよいかもしれません。

大学の先生の論文やこれまで行われてきた実践報告を学びあう研究会です。

 

筑波大学附属小学校に赴任して3年、思い返せば、授業づくりと実践に明け暮れた毎日でした。クラスの子どもたちの学びが深まり、社会の出来事に関心を持ってくれるよう、たくさんの実践を行ってきたことは、このブログでも紹介してきました。

しかし、自分がよいと信じて行ってきた実践は大きな価値があることは疑いはないのですが、研究としてどのような位置づけに当たるのかをきっぱりと言い切ることができないことも、最近の悩みでした。

そこで、最終的な目標を「社会参画」として、そこに至るまでのはるかなる道のりをどのように授業で行っていくのかを学問的に考えてみようと思い、この研究会・学習会を行うことにしました。

 

会の目標は

①「社会参画」を志向する子供を育てる授業の在り方を考えていく。

②社会参画に関わる論文等をゼミのように学習していく。

③年に最低1回、いずれかの学会でグループ発表・提案する。

④出来たら授業研究会も行いたい(しゃかつく研を借りてもいいかなと考えている)

⑤ゲストの先生にも来てもらいたいな。

 

というものです。

参加してくださった方が対等に議論し合える場所にできたらと思います。

 

第1回目は、この研究会・学習会を開かないかと声をかけてくださった、柳先生と中谷先生と私で行いました。(阿部先生は日程合わず残念そうでした。すみません)

 

私は、先日行われたお茶の水大学附属小学校でいただいた冊子から話題を。

 

「ニューマンの考える「真正の学力」とは何か」 東京学芸大学 渡部竜也
『児童教育㉘』お茶の水大学附属小学校 NPO法人お茶の水児童教育研究会

1.ビゴッキーとの出会い


ビゴッキー派心理学のジェームス・ワーチは「習得」と「専有」を区別している。
「習得」とは、情報について知ること。
「専有」とは、その知識について信念を持ったり意味を感じたりすること。

知っていても、その知識に新年を持てず、意味を感じていなければ、その知識は学習者に放棄されるか、教員がみているときだけのパフォーマンスに扱われてしまう。→忖度の学び
知識に意味を感じるか否かは、学習者が所属する団体への信頼度や活用見込みによる。

 

2.学力のパラダイム
 アメリカでのビゴッキーの再評価。「社会文化的理論」「社会文化アプローチ」とよばれる、学びにおける社会的文脈(私は文脈という意味がよくわからないのだが)の影響の大きさを重視する。合わせて、習得よりも専有を重視する。その様な潮流の一つにニューマンの「真正の学び」がある。

「真正の学び」を成立させる条件
 3条件
① 知識の構成が存在する。子供自身が知識を統合して自分自身の見解を生み出す。
② 鍛錬された探究が存在する。従来の研究を踏まえ、学問やそのほかの作法を多角的に用いて探究する。
③ 学びが学校を越えた場所で価値を持つこと。学校外の大きな団体でも価値が認められること。

しかし、実行するとなると、システムだけでなく、学校文化「文脈」とセットでとらえる必要がある。

学びの文脈3種類
① 学校という文脈
② 実験室や仕事場という文脈
③ 共同体演習という文脈

特に重視しているのは「共同体演習」という文脈。「自分の学びは外に影響を与えられる」という雰囲気。


3.ニューマンの考える教育の目標
60年代「共同体の中で自己実現することができる」こと
80年代「他者や社会に対して、意味ある言説、作品、パフォーマンスを作り出すこと」
意味があるか否かを決めるのは他者。他者評価の重視。

学習時のテーマを共同体が持つテーマと一致させるだけでなく、実際の学びの中で、共同体と交流していくこと。「自分は共同体の一員になるために、今これを学んでいる」と学ぶ意味を理解し、知識や技能を「専有」できるようになる。そういう授業と学びが「真正の学び」

4.アクティブ・ラーニングとの違い
「真正の学び」は、参加する先を意識しているか否か。「源頼朝義経に対して行った処置をあなたはどのように評価、または批判するか」は学校内にとどまる学び。日常生活で議論しないテーマは「真正の学び」からは低い点。

 

5.ニューマンのオリジナリティー
ウィギンスとマクタイ
教育の目標を「理解」とし、「理解」とは「説明」「解釈」「応用」「パースペクティブ」「共感」「自己意識」からなる6段階を示し、「本質的な問い」にこたえていく中で磨かれていくもの。
ニューマン
教育の目的は「(学校の外の人たちにとって)意味ある言説を作ること、開かれた批判的な言説、作品、パフォーマンスを作り出すこと」
言説は、相手が受け止めるだけの価値があるかどうかが重要、「理解」は本人が理解しているかどうかだけ。
学びは自身のためなのか、それとも自身と社会のためなのかという意識に違いがある

 

6.公共的な問いと哲学の問い
ニューマンは、発言に意味のあるものを作るためには公共的な問いが必要。
ウィギンスが示した「本質的な問い」哲学的な問いが多い。例えば「音楽的とは、どの程度文化に結び付いた審美的判断なのか?」「私たちの先祖に耳を傾けることはどれくらい重要なのか」
これらは、公共的な問いとは言わない。自己解決すれば済む問題、方位形成も必要ない。
これに対して「憲法9条についてどう思うか」は合意形成が目ざされる問いであり、みんなが議論する必要がある。

 

2つの話題を。

1つめ。

私は、「専有」という考え方は、社会参画につながる非常にわかりやすい学びの在り方だと思いました。そして、児童が「専有」を感じるかどうかは、学校の外とのつながり「共同体」でも学びが生かされるつながりが実感できるかどうかとう点も理解できます。

 しかし、同時に難しさもそこにあります。果たして、学校の授業の中で「共同体演習」のような学習が可能かどうか?

 私の今の立ち位置は、行動の一歩手前の認識の深まりを重視しています。

子供たちが「子どもたちの社会に関わる力の育成を目指し「社会参画」を提案している筑波大学の唐木清志先生は『「公民的資質」とは何か―社会科の過去・現在・未来を探る-』(東洋館出版社)の中で、社会参画というとどうしても「Ⅳ提案・参画」に目が向きがちになるが、前半部分「Ⅰ」「Ⅱ」をしっかりつかませ、子供の学習意欲を引き出すことが大切だと述べてもいます。

主体的に社会に関わる子どもの育成には、多角的で深い認識の上に「解決したい」「このままではいけない」という心情が芽生えることが大切だと考えているのが今の私の授業です。

 

そういう意識で2年間過ごしてきた学級の子供たちは、とてもよく進んで調べていますし、今度行く、渡良瀬遊水地では、「自由に過ごしていいよ」といっても、田中廟や歴史民族館まで足を延ばす児童も多く、学習を深めようとか、自分の目で見たいという児童もかなりいるのです。

 

確かに、教室の段階で共同体演習ができればいいけど。(鴨川時代にはやっていたな)

どうしていくかは、考えていきたいです。

 

2つ目の話題。

例示されている、「憲法9条問題」はどう考えても「共同体演習」や共同体につながる学びにはならないだろうな。と思ってしまうということ。

子どもの認識というのは、そういうことではないな。

発達段階と学びの段階と。

9条問題とか、6年生でもできるクラスとそうでないクラスがあると思う。戦争への時間的な理解がなければとか。かなり難しい。

 

そんなこんなで、少しずつ学んでいきたいです。

 

次回は、6月23日(土)に筑波大学附属小学校で行います。

柳先生は、唐木先生の論文を。中谷先生は、竹内先生の論文をもってきてくれます。ゼミのようにあれこれやろうと思います。

また、竹内先生ご本人は、いつでも行くよとおっしゃってくれているようです。竹内先生をはじめ、唐木先生やお茶大の岡田先生など、ゲストの呼べたらいいなと考えています。

関心のある先生は連絡ください。歓迎いたします。

よい授業を創る基礎体力づくりをしていきましょう。

そして、しっかり、楽しく、学びましょう。