粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

42.「後藤新平が曲げてでも貫いたもの」 その① 関東大震災の衝撃

4年生の「地域の発展を尽くした先人」の学習です。 後藤新平を取り上げます。 後藤新平は、関東大震災後に東京の「復興」を成し遂げた人物として、東日本大震災後に注目を浴び教材としても広く取り扱われるようになりました。100年先を見据えた復興計画は、…

41.附属高校の授業を見て感じたこと。

1月14日(土)に筑波大学付属中学校と高校の間にある桐蔭会館で「筑波大学附属小・中・高・大連携社会科研究会」が開かれました。小・中・高の社会科授業が1度に見ることができる画期的な会でした。中高の授業を見ていて、子供たちの意見を聞いていると、こ…

40. 2月の筑波の公開研究会は「2つの単元」を行う予定です。

私は社会的なものの「見方・考え方」を発揮した授業は、「見えないものが見えるものにする」授業のことだと考える。日ごろ見慣れた事象でも、授業を通してその裏には様々な工夫や願いが込められていることが分ってくる。私は社会的なものの「見方・考え方」…

39.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦(最終回)  東京らしさとは?

長く連載してきました「東京土産は何にする?」の実践も今回が最終回です。 東京みやげには何がふさわしいのか、 ①東京駅で買ってくる。 ②お土産のこころえを作る。 ③人形焼がふさわしいのではと考え、見学するなど調べる。 ④しかし、売り上げは東京ばな奈が…

38.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦   全国のお土産はどうなっているのか?

東京みやげとして何がふさわしいのか考えてきました。 最初、クラスでは「人形焼がふさわしいのでは?」と考えていました。 見学に行くと ①100年以上変わらない製法 ②日本橋七福神をモチーフにしている。 ③太平洋戦争の金属回収を乗り越えて、金型を守ったエ…

37.今年1年を振りかえると。 取材から教材配列について思いを巡らしました。

社会科の授業を作るには、どうしても取材活動が欠かせない。全国各地にはいろいろな活動があり、取材したいことがたくさんあるのだが、移動には費用がかかるので、欲求のすべてを満たすことはできない。だから「これぞ」と思うものを選んで取材に出かける。…

36.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦  終わらない議論。延長もう1時間へ!

時々、こういうことがあります。 子供たちの話し合いが盛り上がって「先生、次の時間も社会やろう!」 「まだ、言い足りないから次の時間も話し合いをしよう!」 うれしいものです。 前回、東京土産として現在1番売れている「東京ばな奈」を取りえ挙げると…

35.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦  一番売れている「東京ばな奈」の秘密に迫る!

前回の授業で、東京土産としてふさわしいのは人形焼だと考えていた子供たちに、 実際に東京土産として一番売れているのは「東京ばな奈」だと伝えました。 人形焼の板倉屋さんに見学に行くなど、子供たちは人形焼の素晴らしさを感じ取っていただけに、大きな…

34.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦  見学のまとめと人形焼のライバル出現!

今回の授業は、11月19日(土)に行われました授業研究会で公開した授業です。 たくさんの先生方に参観していただきましたことを感謝申し上げます。 さて、日本橋人形町にある人形焼の老舗「板倉屋」さんの見学を振り返りました。 まず、私が見学で撮影し…

33.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦  人形焼板倉屋見学~笑顔の素晴らしさを実感~

前回「お土産の心得」を作りました。 ① その土地限定のもの。② 相手を自分が行った時の気持ちにさせるもの。③ 自分が行ったところの風情を感じさせるもの。④ その土地をアピールするもの。⑤ その土地のおいしさ⑥ 行ったところの楽しみを伝えるもの その心得…

32.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦④ クラスの「お土産の心得」を作る

前回、私が青森土産としてわざと(?)買ってきたアルフォートによって、お土産としてふさわしいのは何かを考えるようになりました。 そこで、今回はクラスの「お土産の心得」を作り、お土産を見る視点を作ることにしました。この視点の中に、地理的・歴史的…

31.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦③ お土産とは何か?

東京土産を交換し合った前回を振り返り、お土産物を選んだ理由を話してもらいました。 ・味がいいから。 ・おじいちゃんはおせんべいが好きだから。 という好みや相手を意識した理由や ・東京駅にちなんだものがいいと思ったから。 ・東京でしか買えないもの…

30.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦②

お土産に込められた地域の特色や歴史に気づいていくことを通して、「東京」の特色をつかむ授業。地理的・歴史的・社会的な視点と多様な東京土産と全国の有名土産を比較する方法で、社会的な見方・考え方を育んでいきます。 第1時間目を行いました。 最初の…

29.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦① お土産から見えてくる、土地の地域性

次期学習指導要領では、各教科で身に付ける資質・能力の3要素は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」となり、この資質・能力を育むに当たって用いられるのが「見方・考え方」であるということです。 「見方・考え方」は各教…

28.東京湾の未来 23区に海水浴場を取り戻せ! ~最終回~

ついに 「23区に海水浴場を取り戻せ!」も最終回を迎えました。 これまで ①起承転結の単元構成・授業構成 ②関口さんのストーリーと奥村さんのアナザーストーリー(多角的な考察) ③情意に触れる という私の社会科観を書いてきましたが、 最後に一番主張した…

27.新しい指導要領に向けて ~社会的な見方・考え方を育てる授業~

次期学習指導要領では、各教科で身に付ける資質・能力の3要素は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」となり、この資質・能力を育むに当たって用いられるのが「見方・考え方」であるそうです。 「見方・考え方」は各教科なら…

26.解決へ向けて  関口さんと奥村さんの考える東京湾の未来は

いよいよ、授業のクライマックスです。 黒い水事件の後、葛西の漁師が東京都港湾局乗り込む。そして、港湾局長奥村正武さんに訴えたのです。 「海の汚染を取り締まってほしい」葛西の漁師は生活に困っていたのです。何とかしてほしい。きっと必死の陳情だっ…

25. タイで授業(ICER) をしてきました。

11月12日(土)にタイのコンケン大学で開かれているICERという学会に参加させていただき、5年生の子供たちに社会科の授業をしてきました。 私は、英語が恥ずかしくなるほどできないのです。もちろんタイ語もできません。 しかし、今回は通訳の方がいら…

24.問題把握の場面⑦ 子供たちに港湾局の思いも伝えたい~過去の人に命を吹き込む取材~

黒い水事件を学習した子供たちは、開発への怒りと関口さんたち漁師の側への思いを強くしました。しかし、埋め立てをした東京都港湾局も、東京湾の発展に対する責任や市民の幸せを考えがあったと思います。 それは、21回の「中盤で揺さぶる」の回でお示しし…

23.問題把握の場面⑥ 葛西の漁師を襲った「黒い水事件」

葛西の漁師にとって生命線である海岸はどうして埋められてしまったのか? 子供たちの問題意識に沿って、前回は航空写真で埋め立ての変遷を追い、埋め立て前後の経済を比較していきました。 これまで、葛西の漁師に寄り添っていた子供たちは、埋め立てにも一…

22. 7回目の小学校社会科授業づくり研究会

同じ学校(筑波大学附属小)に勤務する由井薗先生(由井薗先生が代表で私が事務長)と立ち上げた「小学校社会科授業づくり研究会」(「しゃかつく研」)も7回目となりました。立ち上げて1年余り。少しずつ全国の先生方に会員に加わっていただき、毎回議論…

21.問題把握の場面⑤  中盤で、こどもたちを揺さぶる!

前回は、実際に葛西に行って関口さんに昔の葛西のことやどのような活動をしているのか教えていただき、一緒に活動させていただきました。 しかし、子供たちは「どうしてそんなに大切な葛西の海は埋め立てられてしまったのか?」疑問が残ります。 これまで、…

20.問題把握の場面④ 葛西に行って、関口さんにお会いする!

子供たちは、関口さんにお会いしたくてたまらないくなりました。きっかけはわかったものの、どのような活動をしているのか、葛西の現状はどうなのか? 関口さんとふるさと東京を考える実行委員会の皆様にお会いしました。 そこで、1日様々な体験を一緒にさせ…

19.日本地理教育学会に参加して

10月16日(日)に日本大学で行われた「日本地理教育学会10月例会」で実践の提案をさせていただきました。会のテーマは「地域づくり・社会参画を見据えて地理学習」です。私は、現在連載しています「23区に海水浴場を取り戻せ」を提案してきました。…

18.問題把握の場面③ 主要人物の登場 「インタビュー記事」でつかむ

50年ぶりに復活した海水浴場は、「ふるさと東京を考える実行委員会」と関口さんの活動によるものだと、新聞記事を読んでわかった子供たち。 今回は、単元の主要人物「関口雄三さん」とのファーストコンタクトです。 単元が進むと、関口さんにお会いするの…

17.問題把握の場面②  「広さ」と「深さ」を意識して新聞を読ませる

前回は、 ①23区に海水浴場があることの驚く。 ②しかし、あまりきれいではない。「入りたくないな」 ③「50年ぶりに復活」の看板を見る。 ④50年ぶりに復活ってことは、それ以前はもっと汚れていたのか? というように子供は考えていきました。 そこで、…

16.問題把握の場面 直観の裏を突く資料から問題へ

問題把握の場面 1時間目 23区に50年ぶりに復活した海水浴場との出会いです。 東京に住んでいても23区に海水浴場があることを知らない人は多いと思います。 23区に海水浴場がある意外性を十分引き出します。そして、どうして、23区に海水浴場が復…

15.社会参画を目指して授業の単元構成

前回の続きです。 筑波大学の唐木先生は社会参画の理念を社会科に浸透させるには、社会科授業をプロジェクト型にする必要があると述べています。(『子供の社会参加と社会科教育』などで)そして、授業モデル(単元構成)として、 1問題把握→2問題分析→3…

14.次期指導要領と「社会参画」

「23区に海水浴場を取り戻せ」の教材化で、前回述べましたように、 ○主教材として、ふるさと東京を考える実行委員会と会長の関口さん ○アナザーストーリーとして、当時の東京都港湾局の武村さん の2つの立場から東京湾の開発を考えていきます。また、現在…

13.多面的・多角的な考察を生み出す「アナザーストーリー」

新しいシリーズを始めます。 3年生の「残したいもの 伝えたいこと」の単元で「23区に海水浴場を取り戻せ」という名前を付けました。 3年生で行ったこの実践は学習指導要領上の位置付けとしては、「内容(5)」の「イ 地域の人々が受け継いできた文化財…

12.「さいち」と東京のスーパーはどっちがいいの?「比べる」ことの大切さ

スーパーの学習もいよいよ締めくくりです。 宮城県のスーパー「さいち」の人気を突き止めた子供たち。 しかし、このまま「さいちすごい」で終わりにするのもどうなのでしょうか? 子供たちは、「さいち」を学んできたので思い入れも強いのですが、すべてのス…

11.「さいち」が広告を出さないのはなぜだろう?

この日は、「さいちが広告を出さないのはなぜか?」考えました。 子供は、さいちの学習を重ねてきたので、さいちがどのような考えでお店を営んでいるのか理解できるようになってきました。すると今まで全く外れていた予想が当たりだす喜びがあるのです。 子…

10.さいちの調理室にあるモニターはなんのため?

さいちの調理室には、モニターがあります。どうしてモニターがあるのか考えました。 子供の予想で、最初に出てくるのは「万引きを防ぐ」です。この意見の多くの児童がうなずきます。ほかにも「売れ行きを見ている」「商品を出しタイミングを見ている」などの…

特別編 由井薗先生との会話から生まれた「アナザーストーリー」の大切さ。

今回は、授業実践シリーズではなく、先日同じ学校に勤務している由井薗先生(先輩)と野毛で懇親を深めたときに、生まれた社会科実践では「アナザーストーリ」が大切だということをお話ししたいと思います。 横浜市の野毛は、ディープな酒場があふれる味わい…

9.どうして「さいち」は多店舗展開しないのか?

一日に最高25000個のおはぎを売ったこともある「さいち」。 子供たちは、「どうして、そんなに有名なのに、お店は普通なの?」「行列ができるほどなのに、どうしてお店を増やさないの?」とお店を大きくしないのか考えていきました。 子供たちの予想は…

8.名札マグネットを使って、意見や考えを表現する。

資料を読んで、子供たちはどんなことを考えたのでしょうか。いくつか紹介します。 子供たちに、ただ感想を書かせるのではなく、名札マグネットを使うと効果的です。 自分の立場や考えを示すことができるとだけでなく、1時間の授業では、全員の意見を聞くこ…

7.佐藤さん夫妻の思い

宮城県秋保のスーパー「さいち」が行列になる秘密を調べていく子供たちは、「さいち」の人気はおはぎとお惣菜にあることを突き止め、さいちで売られているおはぎとお惣菜は、「製造に限りの消費期限」であることを知りました。意見を出し合い、添加物などに…

6.添加物ナシのお惣菜 「資料の読み見取り」

さいちに並ぶおはぎとお惣菜は、すべて製造日と消費期限が同じだと突き止めた子供たち。では、製造日と消費期限が同じとは、何を意味するのか(どうしてなのか)話し合いになりました。 「新鮮なうちに食べてほしいから」「いや、腐りやすいからその日限りな…

5.資料提示の仕方その2「消費期限が全部一緒だ!」

前回の、「お店の商品の配置図」から、普通のスーパーにくらべて、「おはぎコーナー」が異常に広いことをつかんだ子供たち。一見すると地味なスーパー「さいち」に行列ができる秘密は「秋保おはぎ」と「お惣菜」にあることが分かってきました。さいちのおは…

4.子供たちに「おてがら」を立てさせる資料作り

宮城県仙台市秋保のスーパー「さいち」は佐藤さん夫妻が営む地元密着のスーパーだが、外見の反して、開店前には行列ができ、16:00になると商品棚は空っぽになることも珍しくないのです。その写真を見ると、予想を裏切られた子供たちは「人気の秘密を調…

3.子供の「えー」が起こる資料 スーパー「さいち」

子供たちが「田舎のスーパー」「普通のスーパー」と言っていた「さいち」だが、「実は、朝行くとこんな感じです」と写真を見せます。予想外の行列に「えーっ」と声をあげます。そして、「夕方は、こんな感じです」と空っぽになった商品棚を見せると、子供た…

問題作りの難しさ

2.クラスの問題意識を一つにするには。 子供の問題意識を一つにするには、子供たちに「えー。」とか「どうして?」と言わせるような教材との出合わせ方ができたら理想的です。 具体例なお話をします。前述した3年生の「お店ではたらく人」の問題作りの場…

「主体的・協働的で深い学び」の実現に向けて

1.問題作りの場面での失敗談 次期指導要領改訂に向けて教育課程部会で話し合いがされています。それを読むと、「主体的・協働的で、深い学び」の実現が指摘されています。そのような学習はどのように実現したらいいのでしょうか。学習過程全体にわたって注…

社会科授業