粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

「主体的・協働的で深い学び」の実現に向けて

1.問題作りの場面での失敗談 
 次期指導要領改訂に向けて教育課程部会で話し合いがされています。それを読むと、「主体的・協働的で、深い学び」の実現が指摘されています。そのような学習はどのように実現したらいいのでしょうか。学習過程全体にわたって注意を払ていく必要があるのでしょうが、今回は学習問題を作る場面を取り出して考えてみたいと思います。
 私が以前行っていた問題作りの場面はこんな具あいでした。

3年生の「お店ではたらく人」の学習の導入場面で、教科書に掲載されているお店の店内の絵や写真を見せて「お店の工夫で気づいたことを発表しましょう」と発問します。

すると、子供たちは一生懸命答えます。
 すると子供たちは、次々に見つけて発表する。
・買いやすいように看板がたくさんある。
・並ばなくてよいようにレジがたくさんある。
・サービスカウンターでは困ったことをお教えてくれるよ。
など、次々に発表します。さらに細かいところにも注意を払って発表します。
車いすの人も買えるように通路が広い。
盲導犬も入っていいんだよね。
・裏ではお魚をさばいたり、コロッケをあげたりしています。など。
子供たち競い合うように発言するので授業は盛り上がっていきます。今日の授業は成功したなと、こっそり思ったりします。

 そして、最後にこれからの学習問題を作る同じ方向を向いて場面になります。多数決などを取り「買いやすい商品の並べ方はどのようになっているのか?」などと学習問題が決まります。しかし、多数決で決めても、それを調べたくない児童が必ずいます。子供たちは注意深く資料を見て、細かい点にまで気を配って発表したのに、自分の意見を取り上げられないとがっかりしています。さっきの盛り上がりが嘘のように、しーんとします。だからと言ってすべての意見を含むように「お店の工夫を調べよう」では、何を調べてよいのかわからないぼんやりした学習問題になってしまうことでしょう。

 教室は異なる考えの児童がいます。異なる考えを発表させるだけでは、空中分解してしまいます。異なる考えの子供たちが「どうなっているんだ」「調べたい!」と同じ方向を向いたときに、クラスの追究が始まるのだと思います。では、どうやって、クラスの問題意識を一つにしたらよいのでしょうか。(次回へ)