粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

15.社会参画を目指して授業の単元構成

 前回の続きです。

 筑波大学の唐木先生は社会参画の理念を社会科に浸透させるには、社会科授業をプロジェクト型にする必要があると述べています。(『子供の社会参加と社会科教育』などで)そして、授業モデル(単元構成)として、

1問題把握→2問題分析→3意思決定→4提案・参加

の学習段階を提案されています。

私が感じることは

その①

自分たちが課題を設定して、解決していくプロジェクト学習はその過程そのものが、実際に大人たちが社会の課題に立ち向かうために用いている手段のようにみえます。だから、この学習過程をもとに構成することが社会参画力の形成につながると感じます。

その②

「社会参画」と聞くと、どうしても体験や活動、提案などに目が行きがちで、現場にいる私たちはどうしても、「そんなの学習ではない!」と感じてしまいます。しかし、唐木先生は、「提案・参加だけでは社会参画型学習の必要条件になり得ても、十分条件にはなりえない」と述べ「子供の教材の出会いを大切にして、社会的事象を多面的に分析できる機会」を大切にしなければならないとしています。ですから、問題把握と問題分析の積み重ねを大切にしたうえでの、提案・参加を提案しているということです。

 

唐木先生のご提案されている、単元計画をもとに「23区に海水浴場を取り戻せ」を配列すると、以下のようになります。

1.問題把握 

 ①50年ぶりに再会した23区の海水浴場の新聞記事。

 ②「関口さん」と「ふるさと東京を考える実行委員会」の活動を知る。

2.問題分析

 ①関口さんとふるさと東京を考える実行委員会の取材

 ②どうして東京湾は埋め立てされてしまったのか。経済成長の面から。(アナザーストーリ①)

3.意思決定

 ①故郷の海を大切にしたい人、経済を優先せなけれなならない事情

 ②元東京都港湾局長奥村さんの考え(アナザーストーリー②)

 ②自分の考えをまとめる。

4.提案・参画

 ①葛西の埋め立てが始まり、23区から海水浴場が消えて50年後の現在。

 ②「ふるさと東京を考える実行委員会」と「東京都港湾局」は手を取り合っている。(アナザーストーリ③)(希望のある教材)

 ③「官も民もなく、都民が関心を持てば、海はきれいになる」関口さんの言葉

 ④伝える新聞づくり

 

アナザーストーリーとは以前示した、多面的・多角的に物事を見るための手立てです。希望ある教材も以前書かせていただきました。

 

子供たちの「?」を丁寧に解決し、事実をしっかりつかんでいきます。それは、単線型ではなく、アナザーストーリーによって、異なる立場や見方をしていきます。子供たちの思考は揺らぎ、気持ちは揺さぶられていきます。その中で、解決の難しさを感じるとともに、「自分はこう思う。こうしたい」という意思が育まれていきます。

このように、社会参画する力が育つのではないでしょうか。

今回は、唐木先生のお示ししている単元計画に強く影響を受けて構成してみました。

次回からは、実際の授業を追っていき、社会参画する力がどのように育っていくのか見ていきます。