読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

16.問題把握の場面 直観の裏を突く資料から問題へ

f:id:syakaikajugyou:20161001115140j:plain

問題把握の場面 1時間目 

23区に50年ぶりに復活した海水浴場との出会いです。

東京に住んでいても23区に海水浴場があることを知らない人は多いと思います。

23海水浴場がある意外性を十分引き出します。そして、どうして、23区に海水浴場が復活したのか課題意識を持たせなければなりません

ポイント

①海水浴場はきれいなところだというイメージを広げさせることで、ギャップを大きくする。

②23区の海水浴場写真を見せて、自分は泳ぎたいか判断させる。「泳ぎたくない」と多くの児童が言う。あまりきれいでないのに喜ぶ人がいる。どうしてか考えさせる。

 

実際の展開

スライドで、きれいな海水浴場を見せる。

伊豆、沖縄、北海道、ハワイなど。(エピソードがあったりや先生のふるさとだったりすると盛り上がる)

海水浴場はどんなところにあるのか、考える。

・きれいな海があるところ

・水が透き通るほどきれい。

・魚がいるようなところ。

・暖かいところが多い。

・田舎。人が少ないところ。

逆に、どんなところには海水浴場はふさわしくないか考える。

・人口が多いところ。人が多いと水が汚れるから。

・水が汚いところ。

・工場があると嫌だ。

・都会。

・東京。

そこで、葛西海浜公園のスライドを見せる。

こどもは驚くとともに、水が濁っていることを指摘する。先ほど見せた買い須オ浴場と比べると、水は茶色できれいとは言えない。

・みんなが言っているな海水浴場と全然違う。

・濁っている。ごみもありそう。

・あまり泳ぎたくない。

・どうして、こんなに汚れるまで放っておいたのかな。(こどもらしい)

写真を見せ、50年ぶりに復活したことをつかむ

・どうして50年も放っておいたのかな。

・いや、もっと汚かったのが、これでもきれいになったんじゃないか。

・復活させたって書いてるから、努力したんじゃない。

・晴れ晴れとした顔で写真に写っているよ。

 

子供たちは、海水浴場というときれいな海を予想する。だから、まさか23区に海水浴場があるとは思わない。その事実に驚くことになる。

大人ならば、23区に海水浴場があるとなれば、よく復活できたなとか大変な努力があったのかとすぐに考えるが、子供は背景を知らないので、そうはならない。

「まだ、きたない」「泳ぎたくない」となる。

そこで、「50年ぶり23区に海水浴場復活」の看板を見せる。

そして、「50年ぶりってことは、その前はどうだったのかな?」と発問する。

すると、

 

「前はもっと汚かったのかな」「復活って書いてるけど、これでもきれいにしたんじゃないかな」という意見が出てくる。

直観である「汚い」を引き出しておいて、その裏を考えさせるようにすることで、課題意識が深めていく。

 

子供が「汚い」というと、つい「むっ」としてしまいそうだが、ここはこらえる。子供の素直さをすべて発露させる。むしろ最初に「汚い」と思っていた水でも、復活させるために人々の積み重ねがあると知ったら、どの驚きは一層大きくする。

子供の素直な発言を生かし、それを問題作りにつなげていく