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粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

21.問題把握の場面⑤  中盤で、こどもたちを揺さぶる!

前回は、実際に葛西に行って関口さんに昔の葛西のことやどのような活動をしているのか教えていただき、一緒に活動させていただきました。

しかし、子供たちは「どうしてそんなに大切な葛西の海は埋め立てられてしまったのか?」疑問が残ります。

これまで、関口さんたちの活動に寄り添って学習してきましたが、単元は大きな転換を迎えます。単元を起承転結で言うならば、「転」の段階に入りました。

さて、どうして埋められたのかを考えるために、東京湾の変遷を航空写真でおっていきました。

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教室では9枚の写真で追いました。子供たちは、埋め立てられたと知っている児童はいたのですが、これほど劇的に変化してきたとは思ってもいないようで驚いていました。

2005年の写真では、見学した葛西臨海公園の西なぎさも確認できます。「僕の家はこの辺だよ」という子供もいます。「西なぎさはもともと海だったんだね」と人口のなぎさだと聞かされていましたが、これでしっかり理解できました。

この間の変化を示します。

教室では、グラフで勉強しました。埋め立てられた時期に、日本の人口や所得は一気に伸びて豊かになったことを知りました。東京港の取扱貨物の量も1956年の1500万トン  から2005年には8000万トンになっています。

すると「人口が増えて土地が必要になったから埋めたのか」「港を大きくしなくてはならないから」「工場とかも増えるし、土地が足りなかったんじゃないかな」「もらえるお金も多くなったから、埋め立ては必要だったんじゃないか」という意見が出ます。一方で「お金持ちになっても、自然が壊れたら意味がないよ」「関口さんたちがかわいそうだよ」という意見も出ます。

子供たちは、今まで学習してきたことが揺さぶられ、「どうして埋め立てられたのか」「埋め立ては必要だったのか」知りたくなりました。学習は「転」を迎え、さらに盛り上がりを見せていきました。

 自然か開発かの学習では、どうしても「自然保護」によりがちになる実践を多く見ます。その気持ちはわかるのです。しかし、子供たちが主体的に判断し、関わっていく、「社会参画」をめざした学習の場合、どちらも、同じように扱い、判断は子供にゆだねるべきではないかと考えています。この後、関口さんに対して、埋め立て当時の東京港湾局長奥村さんを登場させるのも、片方だけに感情移入しやすい人物を登場させたのでは、子供の判断が大きく左右されると考えたからです。

 

子供の感想

・私はお金持ちになるより、海で遊んだりする方を大切にする方が好きです。なぜなら、私は、海で遊ぶのは楽しいし、自然を感じると気持ちがよくなるからです。だから私は、埋め立ては反対です。でも、人口は増えてしまい。土地を作らなければ、無理になってしまって、海を埋め立てなくてはいけなくなったことがとても残念です。

・私は埋立に賛成です。それは、海も大切にしなければならないけれど、人間の土地もなくなっては困るし、でも自然も大切にしなければならないし。これからは自然を大切・僕は埋立には賛成です。なぜかというと海を埋めるのは嫌だけれど、人口が増えてしまったので、土地が買えずに生活するのも嫌だからです。
・私はどちらかというと反対です。なぜかというと、もし私は1956年ごろに生きていたら東京の海で遊んでみたい。でも今でもいいところはあります。それはお金のもらえる数が多くなったこと、便利になったことがあって、選べないからです。
・私はどちらかというと反対です。なぜなら、埋め立てすると、自然との触れ合い、海苔の養殖が(思い出)が埋め立てられてしまうような気がしたからです。でも埋立をしなかったら、今のような豊かな日本はなかったんだと思います。
・私は反対です。理由は人にとってはいいけど、生き物や漁師さんには困ることがあるから。
・私は反対です。なぜなら、埋め立てはいいといって、埋め立てた人たちは、東京湾に詰めっている関口さんたちの思い出を知らず、勝手に自分のいい様にしていると思うからです。
・私は今日の授業でとても迷いました。なぜかというと自然か発展か選ばなければならなかったからです。発展しすぎると自然の素晴らしさが実感できない。しかし、発展しないとかなり生活の面で困ります。どうしたら一番いいのかじっくり考えたいです。
にしていきたい。