粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

28.東京湾の未来 23区に海水浴場を取り戻せ! ~最終回~

 ついに 「23区に海水浴場を取り戻せ!」も最終回を迎えました。

これまで

起承転結の単元構成・授業構成

②関口さんのストーリーと奥村さんのアナザーストーリー(多角的な考察)

情意に触れる

という私の社会科観を書いてきましたが、

最後に一番主張したいこと、

④「未来を創る社会科」です。

子供たちには、将来主体的に社会に関わってほしいと思います。

未来を創れる人になってほしいと思います。

そのためには

・将来希望を持てる

・悪者を作らない

教材が大切だと思います。

今回の「東京湾・・・」の教材で例えると、

・関口さんが正義で、港湾局が悪者になってしまいそうです

しかし、社会においては、様々な人がいて、

誰もが精いっぱい生きています。悪者がいるとは思えません。

それぞれの立場になって、考え、検討し、事実をよく知り、(本質的な事実認識)

「自分はこうだ」と意思決定をしていくことが大切ではないでしょうか。

今回子供たちは、関口さんの立場も、奥村さんの立場も十分に分かっていたと思います。

そして、「希望を持てる」教材であることです。

東京大学玄田有史さんは著書の中で「希望は伝搬する」ものであるとしています。

希望は先人から次の世代へ伝わっていくものです。

ですから、大人たちの良い面、希望をもって生きる姿を学ぶことで、

子供たちも、将来に希望をもって生きることができるのではないかと考えます。

ですから、教材にする社会事象は、「将来への希望がつながる」ものでありたいと思います。

東京湾に・・・」に話を戻します。

高度経済成長期に物別れに終わり、埋め立てが始まった漁師と港湾局ですが、

現在は手を取り合っています

東京五輪に向けて、海をきれいにしようと協力し合い、成果を上げています。

単元の最後は、そのことの報道番組を見ました。

その番組の中で、関口さんは「官も民もなく、都民が協力すれば海は取り戻せる

と力強くコメントしています。

子供たちは、手を取り合っていることに、驚くとともに、心強くも感じたようです。

東京湾・・」は

関口さんと奥村さんの2つのストーリーがありました。

2人とも東京の未来を考える気持ち、幸せを考える気持ちは同じなのです。

将来に希望をもって、単元を終えることができました。(完)

子どもの感想

・私は、今では葛西は、だんだん海水浴場に近づいてきていると思います。関口さんと都が協力して取り戻そうとすれば、出来ると思います。もちろん私たちもできることはやっていきたいです。
・官も民も協力すると聞き「えっ」と思いました。それは昔は言い争いをしていたのに、今は仲間の様に一緒に協力しようと決めている点です。私たちもいろいろなことを協力していきたいです。
・今日の最初に見たニュースでは、「都民一人一人が一丸となって取り組み必要がある」と話していました。私もそうだと思います。つぎに今年はどうなるのかということです。おととしは顔をつけてはいけない。昨年は顔をつけてもよくなりました。今年はどうなるのでしょうか。泳げるようになるのでしょうか。私はそれが気になります。
・関口さんたちも頑張っているんだろうけど、一人一人が納得してやってくれないので、子どもでもやれることはやれば少しずつきれいになっていくんじゃないかと思いました。
・私は、先生が見せてくれたビデオを見て、都と関口さんたちがまとまって、海をきれいにするという目標に向かって行っていることがわかりました。関口さんが言っていたように、誰でも協力できる簡単なことがあると思います。私のおばあちゃんはトイレで工夫しています。他にもいろいろ工夫があると思います。いろいろやってみようと思いました。
・私は都民の一人です。都民全体が一丸となれば、自然を守る行動をすれば良いとだれもが思います。でも、都民の中でもそういう思いをしていない人がいます。だから都民それぞれが、自分が思う良い行動をなるべくとるようにすれば私は自然を守ることができると思います。
・じゃあ、奥山さんも心の奥では海をきれいにしたいという気持ちがあったんだと思う。今はみんなの気持ちが一つになっているから復活の可能性が高いじゃないかと思う。ニュースとかで今話題になっているから、もっとみんな排水に気を付けるようになるんじゃないかな。
・今日先生が見せてくれたビデオで思ったことは、まず市民(他の人たち)が納得しなければだめなんじゃないかということです。僕も協力してあげたいです。最初はごみ拾いかな。家族にこのことを言ったら、絶対協力してくれると思います。工場の人たちも協力して、昔の様な海を取り戻したいです。

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