粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

29.社会的なものの見方・考え方を育てる授業への挑戦① お土産から見えてくる、土地の地域性

 次期学習指導要領では、各教科で身に付ける資質・能力の3要素は「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」となり、この資質・能力を育むに当たって用いられるのが「見方・考え方」であるということです

 「見方・考え方」は各教科ならではの視点と思考の枠組みとされるので、社会科の場合は社会的な「見方・考え方」となります。

 これまで、社会的な見方や考え方は、一人一人考えることが違ったと思います。しかし、これも明示されるそうです。それは、子供が問題解決に取り組むときに社会的事象の意味や意義、特色や相互の関連を考察したり、社会に見られる課題を把握して、その解決に向けて構想したりする際の「視点や方法」だということです

 小学校社会科では、社会的事象を、位置や空間的な広がり、時期や時間の経過、事象や人々の相互関係などに着目して捉え、(地理的・歴史的・公民的視点といってもよいのではないでしょうか)比較・分類したり総合したり、地域の人々や国民の生活と関連付けたり(比較・関連・総合をしていく。方法といってよいのではないでしょうか)することとなります。


 今回は、4年生の「特色ある地域とくらし」について、子供たちに地域の特色を捉えるものの見方・考え方の育成を図る。具体的には、お土産物として何がふさわしいかを検討する場面において、その判断のよりどころとして、お土産の背景にある地域の特色を考え、地域の歴史や地理、そこに暮らす人々の願いを材料として、社会的な社会的なものの「見方・考え方」を育てていくことにしました

 取り上げる教材は、「東京土産として何がふさわしいか?」である。これは4年生が在住する都道府県の中で特色ある地域を学習として工夫を施したものです。お土産物は、訪問する際に感謝や礼儀のあかしとして品物を贈る場合や旅先から帰ってくる際に、近所の知人や縁者にその土地にちなんで品物を贈るものです。このような相手に渡すことを目的とするお土産は日本特有の文化という説があります。例えば、お土産を英訳すれば「スーベニア」になると思います。しかし「スーベニア」は日本のお土産とは意味合いが異なり、知人に配るのが目的ではなく、旅をした本人の記念として購入することがほとんどだといいます。西洋の観光地にはキーホルダーや置物、マグネットのワゴンなどがあり商売として成り立っているそうだがそのほとんどが非食品だそうです。一方、日本の場合は食品を購入して配ることが圧倒的に多い。自分で食べることはまれで、知人に配り歩くことが主目的になります。そのため、お土産お菓子にはその土地の歴史や文化、風土を含有したものが多のです。なぜかというと配り歩いた際の会話の中で、そのお土産をきっかけに自分が旅した地域の風土に話題が触れることができるなど、会話が豊かにする効果があるからでしょう。「土産話」という言葉があることからも、日本のお土産がコミュニケーションの方法と密接に関係していることがよくわかります。このように、日本のお土産お菓子は、コミュニケーションの手段としての機能があり、その機能上、土地の歴史や特徴を多分に含んでいるものが多いのです。どのお土産をふさわしいかを考えることは、その土地の歴史や産業、風土などを見つめることにつながります。お土産を見るとその土地の特徴を想像することができます

次回から、お土産の実践を通して、社会的なものの見方・考え方がどのように育っていくのかを考えていきます。(続く)

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