粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

48.「後藤新平が曲げてでも貫いたもの」 その⑦ 新平に賛成なのか、反対なのか

新平の復興計画は反対にあい、30億円以上の計画は5億円弱まで減らされてしまったことを学びました。

ここで、「どうして、反対されたのか?」という学習問題を作るのが、子供の問題意識に沿っていますし、復興計画の内容を学ぶためには、自然でよいと思います。

しかし、あえて子供たち一人一人に「あなたは新平の復興計画に賛成かな?」と問います。どうしてかというと、新平と同じ時代に生きた立場になって考えるとともに、市民としての自分の選択や判断を育てていきたいと考えるからです。社会に関わる力を社会科では育てていきたいからです。

さて、「あなたは新平の復興計画に賛成かな?」と問うと、調べが十分でない分、

①その当時に人の立場になって考えたり、

②現在の自分の生活と照らし合わせたり、

して、意見を述べます。

十分に調べてから意見を述べ合うと、情報過多になり、宙に浮いたような言葉を使う子供も見られます。また、たくさん調べた子供ばかりの発言が目立つようになります。

最初は、だれでも自分の考えを思いっきり述べることが大切だ思います。そして、議論をして、もっと調べたいという気持ちを育てることが大切なのです。

話し合いは、下の黒板のように展開しました。(さらに下へ続きます)

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新平に賛成の意見は

①復旧では、地震が起きるたびに同じことが繰り返されるから。

②市民は、復興を望んでいたはずだ。

③人の命は、お金には変えられない。

を要点として、活発に意見を述べました。

 

反対の意見は

①お金がかかりすぎる。当時は戦争をしていたし、税金は市民の負担になる。

②東京の復興に、国家予算のすべを使えないだろう。

③自動車専用道路など、当時の人には理解されないだろう。

というものでした。

 

両方の立場の意見は

○「お金」と「人命」

○当時の人に新平の考えは伝わらない

という2点に集約されていたと思います。

また、すごいなあと思った意見は、

新平のような偉い人が上からやろうといっても駄目。東日本大震災の時は募金とかボランティアとか市民からやろうとしたでしょ。だから、市民からやろうという風にならなければだめ

というものです。これを聞いて、夏に行ったごみの学習の「有料化」と「上勝のゼロ・ウェイスト」を思い出したのは、私だけではなかったでしょう。

市民(市民としての資質)として大切なことを考えているようで、うれしくなりました。すごい。

 

それにしても、「どうして新平は100年先を考えることができたのでしょうか」次回はそれを課題に残して授業を閉じました。(次回へ)

 

児童の感想

・新平の意見に賛成です。みんなの意見にもあったように、今お金を使わなければまた地震が繰り返され、余計にお金がかかることになるので、その時にしっかり対策をしておけばよかったのに。
・お金をかけすぎだというが、私はそうは思わない。自信は自然災害だから止めることはできない。だから、どの地方も地震は起きる。お金をかけるのは仕方がない。人の命とお金は交換できないから
・僕は授業中、松田君が言っていた「首都だから、別に東京だけ復興したとしても、不公平にはならない」という意見に反対だ。例えていうと王様と老人がいて「無料で家を建てる」という看板を二人がみて、王様無料で家を作ってもらえたが、老人は作ってもらえなかった。この様に立場が異なると帝王が変わるのは変。お金を払わずに火事になって人の命が奪われたら、という意見には賛成。でも、同じ時期、日本全体がお金不足におちいっていたので、東京がいくら首都だからといっても、東京の復興にだけ、大金は使えないと思う。
・私は賛成。税金=復興。市民が出したお金は、復興のためになる。しかも、早めに災害に強い街を作っておかなければ、大変なことになってしまう。
・今だから腰税金が増えてしまってもやるべきだと思う。また、たくさんの命を失わないようにやろうとする取り組みは大変だけど私は賛成したいです。
・日本は地震の多い国で、過去に多くの被害を出しているのだから、改善してできるだけ、被害を防ぐ万全な対策が必要だと思う。後藤は素晴らしい案を出したが、費用がかかりすぎるのですべては実現されなかった。費用がかかっても人命のほうが大切だし、日本の首都だから東京が崩れたら日本もくずれてしまう。最初に東京、次に広がていけばいいと思う。
・僕は賛成です。なぜなら復旧で、また同じ地震が起きてもまたボロボロになったら意味がないから、筆耕してよりよくし、市民に安心させたい。まほちゃんが言っていた「お金は、人の命にかえられないという意見は、とても良いと思う。人の命にかえらええないからこそ、不幸のためにお金を使う。これが僕の意見です。

・私は新平の案に反対です。なぜかというと新平の計画は当時の東京都の予算の40年分。そして国家予算の2年分。借金をすればその利息を返さなくてはいけない。このことを知っていたら未来を考えていたといえるのだろうか。けれども、30億円から5億円は少なすぎると思う。けれど環状2号線の1.4キロメートルだけで、2700億円もかけているから、昔なおした方が、お金は安く済んだかもしれない。
・当時の人たちは、新平の計画を理解できないと思う。お金をかけても災害は、完全には防げない。それに税金は僕たちが払うものだから、急に増えても困る。
熊本地震東日本大震災も市民が自分から募金をしている。でも、後藤新平さんは関東以外の人からも無理やり税金を出させているのはひどいと思う。100年先を考えているといったが、100年後ももし税金を払っていたらということも考えてほしい。でも、新平さんが言いたいこともわかる。今度いつ来るかわからないが、今よりも被害を避けるために東京を復興したいという気持ちもわかる。