粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

113.「畠山さんと森は海の恋人」そして「あの震災」 その①  畠山重篤さん

今日からしばらく

「畠山さんと森は海の恋人」そして「あの震災」

の授業を追っていこうと思います。

その①は畠山さんと森は海の恋人について書こうと思います。

 

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宮城県気仙沼市舞根でカキ養殖をしている畠山重篤さんは、

国語や社会科の教科書で長く取り上げれてきました。

漁師が森に木を植えるという、斬新な取り組みが注目を浴びたからだと思います。

1960年代、日本は高度成長期で全国いたるところで環境被害が出ていました。

畠山さんの住む、気仙沼市も例外ではなく、

赤潮が発生し、養殖したカキが赤く染まってしまったそうです。

カキが赤くなったからと言って、食べれらなくなったわけではないのですが、

赤く染まった身は売り物にはならず大変困ったそうです。

気仙沼の牡蠣漁師も、廃業が相次いだそうです。

どうしようか困っていた時に、

畠山さんは、幼いころからの経験とフランスで学んだことから、

森に目を向け始めます。

 

それまで、海をきれいにするためには、海を見て考えることが当然でした。

しかし、畠山さんは、今でこそ当たり前のようになっていますが

当時誰も思いつかなかった、海の背景にある山も漁場だという考えにたどり着きます。

どうして、畠山さんは森に目を向けることができたのでしょうか。

 

①幼いころの「牡蠣研究所」での経験「森には魔法使いがいる」

幼いころ、気仙沼の舞根には「牡蠣研究所」があり、牡蠣研究が盛んにおこなわれていたそうです。

カキは、1つの会で1日に200リットルもの海水を吸い込み、その中のプランクトンをこしとって食べます。そのため、植物ブランクトンが必要になるわけですが、

研究所では、プランクトンが不足した水槽には、「森には魔法使いがいる」といって、森からとてきた土を入れたんだそうです。1週間もするとその水槽にはプランクトンが大量に発生していたそうです。

「森には魔法使いがいる」それを少年時代に見ていた畠山さんは、森の土に植物プランクトンを増やす何かがあると気が付いていたそうです。

(下は現在ある京都大学の研究施設。この建物に「森は海の恋人」の事務局もあります)

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②地域の祭礼「瀬尾律姫に捧げる海水」

毎年6月の第一日曜日は「森は海の恋人植樹祭」です。場所はひこばえの森ですが、第1回目は室根山で行われていました。その室根山には室根神社があり、祭られているのは、瀬尾律姫(せおりつひめ)といい、縄文時代から、豊かで穢れのない水を届ける神様としてまつられていたそうです。実はその祭礼は4年に一度行われていて、瀬尾律姫に捧げる海水を舞根の人たちが海から汲んで室根山に届けているというのです。その水も、沖合に出て、室根山が見えるところで夜明け前に汲むそうです。

なんと神秘的な話でしょうか。そして、縄文時代から、人々は海と山の結びつきを考えていたということに、人の英知を感じます。

このほかにも、海と山は生活の都合上、切っても切れない関係にあることが「森は海の恋人」畠山重篤 文春文庫 に詳しく書かれています。興味深くて一気に読んでしまいます。

 

③フランスの視察で学んだこと

フランスはカキ養殖の本場です。しかし、かつてフランスのカキ種が危機に陥ったとき、日本の宮城種を送りフランスのカキ養殖は復活したそうです。その縁からフランスとの交流があるそうです。

ちなみに「宮城種」は宮城県という意味ではなく、沖縄でカキ養殖をしていた宮城さんという方が生み出した種のことだそうです。ちなみに、今のように意味に垂直方向に深く使う、養殖方法も宮城産の発明。その前は沿岸部分にばらまいていたので、場所も限られ、干潮時にはプランクトンをすえないので、成長に時間がかかったそうです。

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畠山さんがフランスのロワール川のカキ養殖を見学した時、素晴らしいか気が養殖されていたそうです。ロワール川流域では赤潮は発生していないそうです。その理由を聞くと「森を手入れしている。森は海のおふくろなんだ」といったそうです。

そこで、これまでの①②の経験と重なって、森に目を向けるようになったそうです。

(次回へ)