粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

114.「畠山さんと森は海の恋人」そして「あの震災」 その② 森に木を植える

前回の続きです。

 

森に目を向け始めた畠山さんは、

森が荒廃していることに気が付きます。

当時は、広葉樹(自然林)を切って、針葉樹(人工林)を植えるということが全国各地で行われていたようですね。

広葉樹は、秋になれば落ち葉となり、それが地面に落ちて腐葉土となっていきます。

そのままにしておいても、豊かな生態系が循環していくのに対し、

針葉樹は人工的に種類を一つにして作られた森で、落ち葉もできません。管理をしていかなければなりません。4年生の時に「多摩川水源森林隊」の勉強をしましたが、そのような手入れが必要になってきます。しかし、「多摩川水源森林隊」の時もそうでしたが、林業が廃れ、手入れの行き届かなくなった森がいかに多くなってしまったか。

室根山もそのように、山が荒廃してしまったようです。

さらに、室根山から気仙沼湾にそそぐ大川にはダム計画が持ち上がりました。

ダムのアセスメントは、山の環境だけだそうですね。海にまで配慮しない。ダムは農地という縦割りの行政のやり方を実感したのもその時だそうです。

 

ダムが建設されてしまえば、もうカキの養殖はできないという危機に陥りました。

そのとき、畠山さんは「森に木を植える」という取り組みを始めます。

畠山重篤さんの息子さんで、「森は海の恋人」の副理事長をしている信さんのお話を伺っていて、このやり方の素晴らしさを私は実感せずにはいられませんでした。

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(畠山信さんと私)

 

普通、ダムの反対をするというとどのような取り組みをするでしょうか?

署名とかデモとか、県や市に対して抗議をするとか、議員に働きかけるとか・・・。

色々な方法があると思うのですが、

そのとき畠山さんは、漁師仲間や室根山の方と一緒に木を植えるのです。

これは、誰も敵を作らない方法です。それに誰でも参加しやすい方法です。

前向きで建設的な取り組みです。

 

もし、市や県を非難していたら・・・。もし、デモだったら参加したくてもできない人が多いのでは・・・。

それに比べて、木を植えるという取り組みは、誰に対しても説得力があり、誰もが参加しやすいのです。

 

私は、常々、社会科の教材・授業では「悪者」を作ってはいけないと考えています。(3年生実践「23区に海水浴場を取り戻せ!」を参照)

それを、30年前に実施しているところがすごい。畠山さんの取り組みの魅力でもあります。

 

さて、このように多くの人を引き付ける「森は海の恋人」の活動が生まれたわけでしたが、ダムの建設を阻止するには、科学的な根拠も必要になります。

そこでに苦労があるのですが、それは次回にいたします。(つづく)