粕谷昌良の社会科授業日記

筑波大学附属小学校の粕谷昌良が社会科実践を報告します。

158.子供が作る「防災フェスタ」へ向けて

5人の専門家に学んだ子供たちは、

「うちの人は、津波のことを知らない」

「わたしたちだけ知っていてもだめ」

という問題意識から、

地域の人に知らせる会を開こうと計画をしました。

 

児童が話し合って、大切だと決めた事柄を(合意事項)を発表し,

学校や地域に対して何か働きかける場として,

「子どもが創る 防災フェスタ」を開催することになしました。

海岸線に位置する鴨川小学区の地域の方々でも,

津波を恐れ,

自分個人の価値判断で津波対策を考えていても,

科学的な視点,歴史的な視点,行政からの視点などで判断できているかどうかについては疑問が残ります。

そこで、児童の学習成果や,クラスの合意結果を発信することは,

大人も知りえない有益な情報であり,児童の示すコンセンサスは,

防災への指針となりえるのではないでしょうか。

それに対しての批判や意見があれば,検討する材料にもなります。

一般的なコンセンサス会議が,専門家の修正を加え,

メディアに対してプレゼンテーションを行うように,

今回の学習も,防災フェスタを開催し,児童のコンセンサスを専門家や地域の方々と検討する。これが児童の地域社会への参画につながると思います。


単元の締めくくりは,自分たちのコンセンサスを地域の住民に提案することです。

児童の「学んだ学習内容を多くの人に伝えたい」という気持ちが育てば,

子どもたちが主体となって企画・準備・運営を行い社会参画の提案場面である「防災フェスタ」が開催されると思います。

子どもたちが中心となった社会参画がなされれば,児童の社会に貢献する有用感が育まれると考えます。

 

「防災フェスタ」を開くことになりましたが、

どうやって地域の人を集めるのか?

子どもたちは、話し合いました。

 

・回覧板で回そう。

・ビラ配りをしよう。

・訪問をしよう。

・公民館とかに貼ってもらおう。

・駅やお店もいいよ。

 

子どもたちは、放課後様々なところに頼んでポスターを張りました。

また、駅や大型スーパーでのビラ配りをしました。

「必ず行くからね」

など、暖かい声をかけていただきました。

 

そして、一番ユニークだったのは、

鴨川小のマラソン大会は、校外の海岸線を走るのですが、

そこに応援に来てくださる方に宣伝できるように、

体操服に宣伝広告を縫い付けて走ろうというものでした。

校長先生にも許可をいただき、

実行に移していきました。

 

ありとあらゆる手立てで、地域の人々に紹介していく子供たち。

いったい当日は何に集まるのか?

不安と期待が入り混じりました。

私は不安ばかりでした。

 

さて、当日はどうなったのでしょうか(次回へ)

 

子どもたちが、宣伝ポスターを配るときに、一緒にお渡しした私の趣意書↓

 

 コンセンサス発表の場 「子どもが創る 防災フェスタ IN鴨小」
子どもが創る 防災フェスタ IN 鴨小
子どもが主体となり、地域と学校、行政(市)を結び、津波対策を話し合う社会科学習

主催 鴨川市立鴨川小学校 5年2組
① 海と川に囲まれた鴨川小学校にとって東日本大震災以降,「津波」の不安は子どもたちの中に大きな影を落としていました。しかし,その不安は,科学的・歴史的・公民的に裏付けられたものではなく,根拠のない不安でした。
② そこで,2012年10月から社会科の学習において,地震津波の学習を専門家の方を招いて行いました。地震の起こる仕組みや将来鴨川で起こりうる津波の可能性を館山総合高校のT先生に,鴨川市を襲った過去の津波の記録(元禄地震を中心に)を郷土資料館T先生と観音寺住職M先生に教えていただきました。子どもたちは,鴨川に大きな被害を及ぼすであろう地震にも,相模トラフ・日本海溝南海トラフ震源とする地震が想定され,震源によって津波の起こる確率も鴨川に到達する時間も大きく違うことが分かりました。また,元禄地震の記録を地図にまとめたり,日枝神社津波避難丘や観音寺の大位牌を見学したりする中で,鴨川市も大きな津波に襲われてきた歴史(学区だけで1300人の犠牲者)があり,避難丘を作った事実から津波に立ち向かった先人の気持ちの一端を知ることができました。
③ 次に,市の防災課長のT先生から鴨川市の防災について学び,本校M教頭から鴨小の防災対策や避難の判断について教えていただきました。子どもたちは,防災マップの刷新や津波避難ビルが43ヵ所に増えたこと,備蓄倉庫の増設などについて学ぶとともに,実際に津波が起こった時には,すべての市民に対応するには限界があり,自分自身の備えや対応が大切だということもわかりました。
④ 子どもたちは,自分でも調査を行い,防災マップは8割の人が活用していないことがわかったり,東日本大震災の被災地では,想定を大幅に上回る津波が起こったりしたことを知りました。阪神大震災では公助が機能しなかったことが分かり,自分たちと経験から進んで避難訓練を工夫しようとはしていないことを感じていました。そこで,子どもたちが津波対策に大切だと思ったことは,以下の3点です。
(ア) 正確な情報を知る。(鴨川市津波の歴史・鴨川市で予想される将来の津波の可能性・避難場所)
(イ) 避難訓練の大切さ感じる(釜石の奇跡・津波の予想到達時間と逃げることのできる範囲)
(ウ) 公助の限界を知り,自助の意識を高める。(阪神大震災の救助・鴨川の備蓄)
⑤ 子どもたちは,社会科学習の終了後に,自分の家族や学校の仲間,地域の人に学んだことを知ってもらい,自分たちがそうしたように,わからないことは専門家に教えてもらったほうがいいと思いました。そこで,その機会を実際に作ろうと計画したのが,今回の「子どもが創る 防災フェスタ」です。

⑥ この「子どもが創る 防災フェスタ」学習には大きく分けて,2つの大きな意味があると考えます。


○子どもが主体となって開催することで,将来の社会の形成を背負う子どもたちに,よりよい社会の形成をしていこうとする心情と経験を学ぶことができる。この経験が,将来子どもたちが主体的に社会に参画していこうとする態度の形成につながるであろう。
○本学習活動は,学校が地域社会の形成の媒介となる取り組みであること。学校を介して地域の人々とともに,防災『地震津波』を考えていこうとする取り組みであり,専門家の方々と児童,地域の住民の対話の場を設けることで,学校が地域づくりや生涯学習の中心的役割を担える可能性をさぐる。

このような,経緯と目的を持って「子どもが創る 防災フェスタ IN 鴨小」を開催しようと思います。不十分な点や改善したほうが良い点はアドバイスいただければと思います。ご指導ご協力お願いします。
鴨川市立鴨川小学校教諭 5年2組担任 粕谷昌良

 

宣伝のゼッケン。それをつけて大会へ。

クラスのエースは「1位になれば、目立って宣伝になるな!」

当日は、隣のクラスを破り、見事1位で帰ってきた!↓

 

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「防災フェスタに来てくれた人に、防災のポイントを書いたしおりを配ったらいいよね」

このころになると、思いついたことを休み時間を使って進んで実行していきました。↓

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